そろそろ持ち家を持ちたい…と考えたときに果たして今持つべきか、賃貸のままでいるべきか選択の岐路に立たされることもあるでしょう。
将来のことを考えると一体どっちがいいの?誰もが悩む賃貸か分譲かをズバッと解析してみましょう。
賃貸マンションと分譲マンションは何が違う?
賃貸マンションの目的
賃貸マンションはオーナーが家賃収益や利便性を重視して建てたもの。
オーナー(家主)が家賃等の収益を目的としており満室になることが望ましいので、比較的駅から近い場所や利便性がいいところに建てられていることが多いです。
物件のグレードを誇ることもないので、その構造はそこまでいいものを使っていないのが一般的。床材の等級などは分譲マンションに比べて低いのがほとんどです。
分譲マンションは設備が充実
分譲マンションは設備を充実させ購買意欲をそそられるように建てたもの。
快適に住むことを前提としているため、設備を充実させ住み心地のよいように建てられています。新築分譲マンションでは最新の設備が導入され、グレードにもこだわっています。
一般的な分譲マンションは、遮音性のたかい素材を使用しているため、隣や上下の音が響きにくくなっていたり、賃貸マンションと比べしっかりしています。
賃貸マンション
賃貸マンションのメリット
ライフスタイルに合わせて住み替えも気楽
賃貸マンションに住んでいる中で、家族構成が変わることは珍しいことではありません。
子どもができたからもう少し広いところに引っ越したい、子どもを通わせたい学校の校区に移りたい、将来子どもが独立したら広い部屋はいらない…など生活環境は変わっていくものです。
そんなときに賃貸であれば初期費用はかかるものの、引越し後の費用は家賃・共益費だけなので手軽に引越しをすることができます。
シングルであれば、街が近いところ、駅近で通勤に便利なところ、おしゃれな物件が出たので住み替えたいなどフレキシブルに対応できます。
設備の故障は家主負担
突然エアコンが壊れた!ガスがつかなくなった!お湯が出ない!バルコニーに鳩が飛んでくる!などのトラブルはすべて家主さん(管理会社)が対応してくれます。
故意に壊したりしたものでない限りその費用負担も家主さんが持ってくれます。
たとえばエアコンが壊れたという場合、ある程度年数が経っていれば、修理ではなく新品と交換してくれた、なんてこともよくある話です。
家賃・共益費さえ払っていれば、設備に対する費用負担など一切ないのが賃貸のいいところですね。
リセットできる
最近話題になっている欠陥住宅、耐震改修がなされていない、または偽装された物件をもし購入していたら、そんなマンションには不安で住み続けることなんてできません。
しかしローンも残っているし、そんな物件売ることも不可能です。途方にくれてしまいますよね。
もし賃貸マンションでそのような事態に遭遇してしまった場合、引っ越してしまえばその問題からは開放されます。
それに伴う引越し費用や精神的苦痛などの問題はさておき気持ちのうえでは気楽にリセットできます。
賃貸マンションのデメリット
家賃が高め
同じエリアで同じくらいの分譲マンションと比較したら月々に支払う金額は賃貸のほうがやや高めになってきます。
分譲マンションでは毎月のローン返済額を抑えた価格を提案してあることが多く、こんなに安くで住めるものか…とびっくりしてしまうものもあります。
確かに月々の返済額は安い場合もあります。
しかしその中には修繕積立金や管理費などは含まれていないのでトータルすると賃貸の家賃と分譲の月々のランニングコストはどれほど違うのかはその物件次第ということになります。
設備のグレードは最低ランクのものがほとんど
実はこの点が分譲マンションと賃貸マンションの決定的な違いであります。
分譲はある程度グレードの高いものを使っていますが、賃貸の場合、そこまで資産価値を高める必要がないため使われている設備機器は最低ランクのものがほどんどと考えておいたほうがいいでしょう。
新築マンションや築浅のマンションであればまったく気になりませんが、古いマンションになってくるといろいろと弊害はあるかもしれません。
キッチンやお風呂、トイレなどの水回りはきれいであることに越したことはないですよね。
勝手に内装をいじれない
内装を変えた場合、賃貸であれば退去するときに原状回復義務といって「入居したときと同じ状態で退去する」という決まりがあるので元に戻さなければなりません。つまり退去時に修繕費がかかります。
そもそも物件によっては壁に釘1本でも打ってはNGというものもあるようです。
どうしても壁紙を変えたいと思ったときは、簡単にはがせるタイプのものや、壁に穴を開けずに済むようにディアウォールを使うなど工夫が必要になってきます。
共有部分の掃除や管理状況
分譲マンションの場合、管理人が常駐しているところも多いです。
エントランス部分は常に清掃がされ、郵便ポストも業者がポスティングチラシを入れようものならすぐ飛んできて注意したり、そのまま処分してくれたりするのでいつもきれいな状態です。
ところが賃貸では管理人が常駐しているのは高級賃貸物件でない限りほとんどありません。
もちろん管理会社が巡回してきれいなところもありますが、たいていはそんなに頻繁に見回りにきているわけでもないので、エントランス部分が清掃されていなかったり、ポストにチラシが散乱していたり…と満足いく空間であるとは限らない場合があります。
万が一の場合の不安
仮に一家の大黒柱に万が一のことがあった場合、残された家族は今までと同じ家賃を支払いながら住むことができるのか?と考えたら不安になります。
奥さまが専業主婦やパートだった場合の収入で現状の家賃と生活費を工面できるのかというと現実厳しいものがあります。
夫をなくした悲しみに暮れる余裕もなく、今後の子どものことと住まいのことを考えなければならないというのはとてもエネルギーのいることです。
資産にはならない
当然ながら、30年、50年と家賃を払い続けても自分のものになることはありません。
また住むためには老後もずっと家賃を支払い続けなければなりません。
分譲マンション
分譲マンションのメリット
資産になる
状況に応じて売却することも可能な分譲マンションは、財産となります。
子どもを育てるために4LDKの分譲マンションを購入したものの、子どもが巣立ち夫婦2人となったときに広すぎると思ったなら売って住み替えることも可能です。
リフォームが好きなようにできる
専有部分については好きなように内装できるのが分譲マンションの醍醐味ではないでしょうか?
古い物件をリノベーションしたり、壁紙を変えて気分転換を図ったり、キッチンを新調したりと思いのままできるのはうれしいですね。
万が一の場合安心
住宅ローンを借りる際に団体信用保険に加入していると思います。
もし一家の大黒柱に万が一のことがあった場合、ローンの返済が免除され、残された家族はローンの支払いをすることなくそのまま住み続けることができます。
管理費や修繕積立金の支払いは継続しますが、それでも賃貸の場合の家賃やローンを継続して支払うことを考えたら心理的にはかなり楽です。
なにより夫が残してくれた住み慣れた家にそのまま住み続けられるということは精神的にも経済的にもすごく助かりますね。
分譲マンションのデメリット
すぐに売れるとは限らない
当然ながら長く住み続けると、マンション自体も老朽化してきます。
リノベーションも流行っているのですが、実際今住んでいるマンションが希望価格で売れるとは限らない場合もあるということを念頭においていたほうがいいようです。
管理組合に参加しなければならない
賃貸マンションの場合は管理組合などなく、町内会の当番くらいが回ってくる程度ですが、分譲マンションとなるとそうはいきません。
持ち回りで理事長を決めなければならず、会合などにも参加しなければなりません。
分譲マンションを購入しようとする場合は管理組合の状況もできればリサーチしていたほうがいいですね。
会合が頻繁に行われているところや、何かあると修繕積立金で共用部分の補修などに力を入れている物件であれば、修繕積立金もおのずと高くなってきます。
これから50年の比較
分譲マンションを購入する場合
- 物件の価格:3500万円のものを購入の場合
頭金=500万円、ローンの借り入れは3000万円。 - 諸費用(仲介手数料など)=105万円
- 毎月の返済額を10万円に設定(固定金利2.0%(もう少し安い金利の場合金額は変わってきますがここでは2.0%で設定)、返済期間35年)
- 管理費・修繕積立金
最初の20年間は毎月2万円の負担ですが、21年目以降は毎月3万円という想定 - 固定資産税・都市計画税=約390万円(立地により異なります)
- 入居時にかかる引っ越し費用:概算で30万円で設定。
- リフォーム代金=途中でかかるリフォーム代として10年目で100万、30年目で200万円として想定
トータルすると、約6,792万円。
賃貸物件で途中2回に引っ越しをして住み替えの場合
- 家賃:1年目~9年目は月10万円
1回目の引っ越し後の家賃:10年目~24年目は月12万円
狭いところに引っ越し後の家賃:月10万円 - 入居時にかかる費用
敷金1ヶ月、礼金2ヶ月、仲介手数料1ヶ月の計家賃の5ヶ月分が最初に必要 - 更新手数料
2年ごとに家賃の1ヶ月分として想定(金額設定しているところもあり) - 入居時にかかる引っ越し費用:概算で分譲と同じ30万円で設定。
トータルすると、約6,822万円
50年後までのシュミレーション
【分譲】VS【賃貸】
1年目から9年目
分譲マンションを購入する場合、通常は頭金を支払います。
最初にまとまったお金が必要となってきますが、税金が戻る優遇措置や10年間住宅ローン控除を受けることができます。
賃貸マンションであれば子どもが小さいうちは間取りも小さいものでいいので家賃負担を抑えることができます。
10年目~26年目
分譲マンションであれば、住宅ローン控除も終了し、戻ってくるお金がぐんと減ってしまいます。
賃貸であれば、そろそろ子どもも成長し、または人数が増えたりして広い間取りが必要となってきて、引っ越しを検討する時期になります。
広い間取りへの引っ越しとなると、最初にかかる敷金、礼金、仲介手数料、引っ越し費用、さらには家賃アップとなり、この時期は分譲も賃貸も月々の負担は変わらなくなります。
27年目~36年目
分譲マンションの場合、建物の築年数が経過するとそろそろ修繕時期に差し掛かり修繕積立金がアップする場合もあります。
住宅ローンの返済はまだ続きます。
賃貸の場合、子どもが独立し夫婦2人となるとそんなに広い間取りは必要なくなり、再び狭めの賃貸住宅へ引っ越しすることで家賃コストを抑えることができます。
37年目~50年目
分譲マンションを購入した場合、いよいよ住宅ローンの返済が終了します。
月々の負担は管理費、修繕積立金のみとなり、固定資産税と途中でマンションの修繕が必要になる場合がある程度です。
賃貸はずっとそのまま家賃負担は続きます。
それ以降は買う方が有利
50年をトータルすると、分譲も賃貸もそれほどの差はありませんが、そこから以降は年を追うごとに賃貸のほうが負担が増えていきます。
また老後は年金生活に入るため家賃負担がないほうが精神的に楽だという意見も多く聞かれます。もちろん蓄えがある方は賃貸でもいいですね。
分譲型の賃貸マンションは
転勤が決まったら
分譲マンションを購入したのだけど、会社の転勤で引っ越しをしなければならなくなった。
そんなとき、売るか貸すか、空き家にしておくか…の選択肢を考えなければなりません。
空き家にしておく場合、住宅ローンの返済と新たなところで借りる家賃との二十払いになってしまいます。
しかしすぐに戻るとわかっているのなら、賃貸に出すより空き家のままのほうがリスクがありません。
それ以外は、資金に余裕がある方はともかくとして賃貸に出すか、売却するかの選択になります。
貸す場合
売るといってもすぐに売れなかったり、希望の価格で交渉ができない場合もあり、人に貸すという選択をされる方も多いです。
もし戻る時期が明確である場合は定期借家契約を結ぶことができます。
定期借家契約とは
期間を定めて、その後の更新はしないという契約です。
通常、賃貸借契約では2年ごとの自動更新が一般的ですが、普通借家契約で貸主の都合で出ていってくれという場合、借主には居住権が認められており、出ていってもらうためにそれ相当の対価が必要となってきます。
それを回避するため、戻るまでの間を人に貸したいという場合、このような定期借家契約を結ぶことがあります。
ただし、数年後に出なければならないという条件つきの物件だと借り手は少なくなってしまいます。そのため賃料を相場よりも安く設定するなどしなければならない場合もあります。
短期でOKの方には絶好の物件
分譲マンションのグレードの高い設備の物件に格安で賃貸で住めるとなればそれは借りるほうにとっては願ってもない物件。
借りる方も転勤が多いなど先がわかっていて合致すればこの上なくいい物件ですね。
投資型の分譲賃貸マンションだと安心
分譲マンションを購入するという方は自分が住む目的のためという方のほかに投資目的として購入される方もいらっしゃいます。
もともとそこに住むために購入したわけではなく、賃貸に出して家賃収入を考えている物件なので、転勤から戻ったから明け渡してほしいということもありません。
分譲のグレードの高い物件に賃貸で借りたい方にとってはそのような物件は狙い目ですね。
コツは不動産会社の見極め
不動産会社の中にはそのような物件を多数管理しているところもあるので、その不動産会社から直接情報を頂くのがいいですね。
自分の希望を担当営業にしっかり伝え、空きが出たら連絡してもらう、または常に連絡を入れるようにすると、まだ市場に出ていない物件をいち早く紹介してくれる場合もありますよ。
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Note
分譲マンションを購入するか、賃貸でずっと借り続けるのかは、個々のライフスタイルや考え方によって決まるもの。
先がどうなるかわからない現在の状況では賃貸のほうが賢い選択だという意見もありますが、やはり自分の財産を持ちたい、万が一のときは売却という考え方も…。
個々の家族構成を踏まえ、その家族も10年後、15年後も一緒に住んでいるかどうか、家を購入するときの子どもの年齢はどうか?大学進学時期に遠方に行く可能性もあることを踏まえたときに教育資金の確保は大丈夫か、並行して住宅ローンまたは家賃を払えるか…など先のこともシュミレーションしたうえで慎重に考えなければなりません。
特定の方を除いては、家はそうそう何度も買い換えれるものではありません。だからこそ慎重に考えましょう。
また賃貸で住むならグレード重視の分譲賃貸型がおすすめですね。