安売りしていたので思わずまとめ買いしてしまった、実家から農産物がたくさん送られてきたけど食べきれずに捨ててしまった…ということは誰にでも経験があるでしょう。
そんなときに役立つのは冷凍保存。
でもやみくもに冷凍庫へ入れればいいというものではありません。
食材や調理のしかたによって、保存できる期間や保存方法は大きく変わってきます。冷凍した食材をおいしく食べれる保存法をご紹介します。
冷凍保存期間の目安
食材を無駄にせず短時間でおいしく作る
冷凍保存のメリットは、その保存期間の長さ。例えば薄切り肉なら冷蔵庫だと買ってから2~3日が限度ですが、冷凍保存だと2週間も保存できます。
これは食材によって期間が異なります。おいしく食べるための期間の目安を把握しておきましょう。
肉・魚:2~3週間
肉や魚は冷蔵なら2~3日。生のまま冷凍するなら2週間。味噌漬けなど味をつけて冷凍したら3週間ほど持ちます。
ただし、魚介類は輸送の段階で冷凍し、解凍したものを売っていることもあるので、家で冷凍するときは再冷凍になってしまいます。再冷凍は鮮度が落ちるばかりでなく、細菌が増殖する可能性もあるのでしてはいけません。買うときは表示を確認しましょう。
野菜:3~4週間
基本的に生の野菜は冷凍に不向きです。冷凍するなら、一度茹でるか、炒める、電子レンジで加熱するなど火を通してから冷まして冷凍します。その場合の保存期間の目安は、3~5日ほど。
ただし生で冷凍できる野菜もあります。その場合、切ったり、つぶしたりするといいでしょう。保存期間は2週間ほど大丈夫です。
加工食品:約1ヶ月
加工食品はさまざまなものがあります。加熱調理されたものは、比較的長期間冷凍が可能ですが、生に近いものは2週間程度で使い切るようにしましょう。
冷凍期間が長いものでも、家庭の冷凍庫では、冷凍やけして色が悪くなったり、冷凍庫の開閉による温度変化で霜がついたりと品質が劣化する場合もあります。
長くても1ヶ月以内で使い切るようにしましょう。
おいしく冷凍・解凍するポイントとコツ
食材をただ冷凍庫に入れるだけではおいしく食べることはできません。ちょっとしたコツでおいしく食べる方法があります。知っているのと、知らないのでは格段の差が出る冷凍法のコツはこちら。
冷凍のポイント
水分をしっかり切る、拭く
食材に水気がついたまま冷凍すると、霜の原因になり、食材の品質や味を劣化させてしまいます。とくに生魚や切った野菜の水分は見落としがちなので注意しましょう。
冷凍する前に、必ずキッチンペーパーやふきんで包み、軽く押しながら水気を拭きます。茹でたものは水気をよくしぼり、さらにキッチンペーパーで包んで水気を除きます。レンジ加熱後冷凍する場合も、よく水気を拭き取ります。
小分けにして形を整える
一度に丸ごと冷凍してしまっては、使いたいときに全部解凍しなければなりません。一度解凍したものは再冷凍すると品質が落ちるので避けたいところです。
冷凍する前にあらかじめ小分けにして1回分ずつ冷凍するようにしましょう。
例えば、切り身の魚なら1枚ずつ、薄切り肉なら80~100gずつに分けます。
団子状にまとめたりせず、平らにしてできるだけ薄い形にすると、早く冷凍でき品質劣化も最小限に抑えられます。また解凍時間も短くて済みます。
冷凍する際に役に立つのは、ジップロップなどの密閉袋か、プレスンシールです。
また、ラップを利用する場合、スーパーなどで売っているものは商品のラベルがついていると思います。
これを切り取って食材とラップの間にはさんでおけば、何の素材でいつ頃冷凍したのかの判断がつくので便利です。
肉類は冷凍してしまえば、鶏肉なのか、豚肉なのか、牛肉なのか判断がつかないこともあります。
しっかりぴっちり包む
プレスンシールは食材を1個、1個包まず、下にプレスンシールを敷き、等間隔に食材をならべ、上からプレスンシールをかぶせ、食材と食材の間を密閉して保存します。
使うときは必要な部分だけカットすればいいので無駄がありません。
食材を包むときは空気が入らないようにぴっちり包みましょう。空気が入っていると酸化して品質が落ちやすくなります。
素早く冷凍させる
冷凍に時間をかけるほど食材の組織は壊れます。できるだけ短時間で凍らせて品質の劣化を防ぎましょう。冷凍するときに食材を金属トレイに乗せて冷凍庫に入れると、均一に早く冷凍できます。
解凍のコツ
解凍には4通りの方法があり、食材によって最適な解凍方法があります。
自然解凍
冷凍庫から冷蔵庫へ移して解凍するか、室温に放置して自然解凍する方法です。
肉や魚、菓子類などに適しています。
流水解凍
密閉袋に入れたものを水をためたボウルに浸して、上から細く水を出して解凍する方法です。
エビやイカなどの魚介類に適しています。
電子レンジ解凍
電子レンジの弱機能や解凍機能を使って解凍する方法です。
時間がないとき、即解凍したいときに適しています。肉は加熱し過ぎると煮えてしまったり、加熱時間が短いとカチコチのままだったりと若干調整が難しいところがあります。できれば余裕をもって自然解凍したいですね。
加熱解凍
凍ったままの食材を煮汁で煮る、オーブントースターで焼くなど解凍と同時に調理する方法です。
食パン、野菜などに適しています。
下ごしらえが決め手になる時短調理プロセス
野菜
野菜に含まれている水分や繊維は、冷凍すると、水分が膨張して繊維を破壊してしまうため口当たりが悪くなります。
トマト以外の野菜は生で丸ごと冷凍するのは不向きです。トマトの場合、皮ごと冷凍し、凍ったままのトマトの上から水道の水を当てれば、皮がつるりと向けてくれ、そのままトマトソースの煮込み用として使えます。
基本は加熱してから冷凍します。
ほうれん草・小松菜
■冷凍方法 かためにゆでて水気をよくしぼり、表面の水気もよく拭き取ります。使いやすい大きさにカットし、1回分ずつラップで包み、密閉袋に入れて冷凍します。
■解凍・料理法 おひたしや和え物にする場合、常温で自然解凍し、軽く水気をふいて調味料と合わせます。味噌汁や煮物に使う場合、凍ったまま煮立っただし汁に入れます。炒め物やグラタンの場合、室温で半解凍させてから使います。
ショウガ・ニンニク・パセリ
■冷凍方法 ショウガ、ニンニクはすりおろして密閉袋などに平らに薄く伸ばして金属トレイの上において冷凍庫に入れます。ある程度固まったら、包丁の背で格子状に形をつけておくと、使うとき格子の1マスをポキっと折って必要量だけ使えて便利。
薄切り、みじん切りして保存するときは同じく密閉袋に平らにして冷凍保存します。
■解凍・料理法 油炒めのときにニンニクを使う場合、凍ったまま使用可能です。から揚げなどの下味の場合、凍ったまま入れて自然解凍しながら下味がしみてきます。
ピラフなど最後のトッピングでパセリを散らす場合、凍ったままのパセリを上から散らして使えます。
ブロッコリー・カボチャ
■冷凍方法 ブロッコリーは小房に分け、カボチャは一口大に切って電子レンジで加熱します。冷めてから水分を除き、密閉袋に入れて保存します。
■解凍・料理法 サラダとして使うなら常温で自然解凍します。煮物にする場合、凍ったまま煮汁に入れてさっと煮ます。ポタージュスープにする場合、自然解凍したものをつぶして、牛乳やスープでのばします。
肉・魚
肉や魚は小分けにしてから冷凍するのが基本です。切り身なら1切れずつ。薄切り肉なら1人分程度をラップで包みます。
冷凍する前に味をつけると、解凍しても味を損ないません。
解凍は冷蔵庫に移して自然解凍するのが一番ですが、急ぎの場合は電子レンジの解凍モードで行います。その際は煮えすぎないように注意しながら加熱しましょう。
薄切り肉
■冷凍方法 しょう油や酒、市販のタレに漬け込んで味付けをし、3~4枚ずつずらしながら重ねてラップに包んで平らにし、密閉袋に入れて冷凍する。
■解凍・料理法 冷蔵庫で自然解凍します。急ぎの場合は電子レンジの解凍モードを使いますが、冷凍ムラをなくすため短めに加熱時間を設定し、様子を見ながら加熱していきます。
味付けしているので野菜といためたり、丼ぶりものとして調理できます。
ひき肉
■冷凍方法 生でも冷凍できますが、傷みやすいのでぽろぽろに炒めてから冷凍するのがおすすめ。冷ましてから小分けにしてラップで包んで冷凍します。
■解凍・料理法 生で冷凍した場合、冷蔵庫で自然解凍し調理します。炒めたものを冷凍した場合、凍ったまま炒めてほぐし、チャーハンやドライカレーなどの料理に使えます。
魚の切り身
■冷凍方法 生でも冷凍できますが、ブリの切り身、鮭の切り身などは塩、酒、しょう油などで下味をつけてから冷凍すると、味が落ちず料理のスピードアップになります。
■解凍・料理法 冷蔵庫で自然解凍します。電子レンジの解凍モードを使うときは解凍時間に注意します。あらかじめ下味をつけているので調理の時短になります。フライパンで焼き、砂糖やしょう油を足して味を調整します。
小ぶりな魚丸ごと
■冷凍方法 小ぶりな生魚(サンマ・イワシ・アジなど)は水に浸して冷凍すると鮮度が保てます。また内臓を取り除かずに丸ごと冷凍することができます。
水で洗った魚をそのまま密閉袋に並べて入れ、ひたひたの水をそそぎます。袋の口をしっかり閉めて冷凍庫で保存します。保存期間は2~3日が目安です。
■解凍・料理法 袋のままボウルなどにおいて流水をかけながら時間をかけずに一気に解凍します。はらわたの処理は少し凍った状態で行うと、血が流れずキッチンが汚れません。
まとめ買いしたときに冷凍しておきたい食材と方法
半調理品の冷凍・解凍方法
スーパーで思わずまとめ買いしてしまった、週末に常備菜を作り置きした、うどんを茹ですぎた…など、冷凍しておけば調理時間がないときに使えて便利です。
とは言っても常備菜を冷凍する場合、冷凍に向かない素材もあります。例えば、ジャガイモ、ニンジン、豆腐、コンニャクなど水分が多いものを冷凍すると風味を損ない、食感も変わってしまいます。
解凍してもおいしく食べれるように工夫をして冷凍保存しましょう。
カレー・シチュー・トマトソース
■冷凍方法 冷まして密閉袋に入れ、空気を抜きながら平らにします。カレーにジャガイモが入っている場合、取り除くか、潰します。ニンジンは小さく切ります。
■解凍・料理法 電子レンジで解凍します。少量使いたいときは凍ったまま適当な大きさに切って使います。
カレーは温めて、カレーライスやカレーうどんに。シチューはグラタンやドリアなどにアレンジできます。トマトソースはパスタに絡めたり、ひき肉といため合わせてミートソースにしたり、ミネストローネとしてスープにするのもおすすめです。
ハンバーグたね・餃子
■冷凍方法 ハンバーグは丸めて焼いてから1個ずつラップで包み、密閉袋に入れて保存します。生でも冷凍できますが、焼いたほうが解凍してから調理の時短になります。
餃子は金属トレイに間隔をあけて並べ、凍ったら密閉袋に入れて保存します。
■解凍・料理法 焼いて冷凍したハンバーグはそのまま電子レンジで加熱。凍ったままフライパンでトマトソースを合わせて煮込みハンバーグにしてもよい。
餃子は凍ったまま油をひいたフライパンに並べ蒸し時間を長めにして焼きます。
茹ですぎたうどん
■冷凍方法 ゆで麺に少量の油を絡め、小分けにしてラップで包み、冷ましてから密閉袋に入れて保存します。
■解凍・料理法 熱湯に凍ったまま入れて解凍します。
ごはん
■冷凍方法 ご飯はアツアツのうちに1杯ずつラップで包み、粗熱が取れてから冷凍庫に保存します。
■解凍・料理法 凍ったまま電子レンジで加熱し、温めます。そのまま食べるほか、チャーハンや丼ものなどにアレンジしてもOK。
冷凍しておくと便利な加工食品
冷凍しても品質の劣化が少なく、便利に使いこなせる加工食品をご紹介します。
室温や冷蔵庫での保存に比べ、冷凍すれば保存期間がぐんと伸び、使いたいときにさっと使えて便利です。
パン類
■冷凍方法 食パンや菓子パンは小分けにしてラップで包む。フランスパンはあらかじめ切り分けてからラップに包みます。
■解凍・料理法 食パンやフランスパンは凍ったままオーブントースターで焼きます。菓子パンは室温で自然解凍します。
納豆・油揚げ
■冷凍方法 納豆はパックごと密閉袋に入れて冷凍します。油揚げは熱湯をかけて油抜きし、食べやすい大きさにカットし、小分けしてラップに包み密閉袋に入れて冷凍します。
■解凍・料理法 納豆は室温で自然解凍します。油揚げは凍ったままみそ汁の具にしたり、オーブンで焼いてもOK。
さつま揚げ・がんもどき・ちくわ
■冷凍方法 おでんや煮物に使えるさつま揚げ、がんもどき、ちくわは冷凍することができます。小分けしてラップに包み密閉袋に入れて冷凍します。
■解凍・料理法 丸ごとの状態なら冷蔵庫か室温で半解凍し、加熱調理をします。オーブントースターでこんがり焼いてもおいしい。
おでんや煮物に使う場合は、煮立った汁に半解凍のまな加えます。あらかじめ一口大に切っておけばみそ汁の具にもできます。
冷凍・解凍の目安表
冷凍に向かない食材
食材 | 丸ごと冷凍できる | もし冷凍するなら |
解凍方法 |
牛乳 | × |
脂肪分が分離するためNG |
|
レタス | × |
水気が多い食材なので冷凍は不向き |
|
大葉 | × |
変色が著しい |
|
豆腐 | × |
著しく食感が変わる |
|
ヨーグルト | × |
分離してしまう |
|
こんにゃく | × |
著しく食感が変わる |
|
かまぼこ | × |
著しく食感が変わる |
|
キュウリ | △ |
薄切りにして塩もみし水気を切る |
室温で自然解凍 |
ナス | △ | 焼きナスや油で炒めたら可能 |
室温で自然解凍 |
ジャガイモ | △ | 茹でてつぶす |
室温で自然解凍 |
卵 | △ | 薄焼き卵にすれば可能 |
冷蔵庫で自然解凍 |
チーズ | △ |
ピザ用のシュレッドチーズのみ可能 |
凍ったまま加熱調理 |
マグロのさく | △ | 生は可能。冷凍マグロは不可 |
冷蔵庫で自然解凍 |
ケーキ | △ | 生の果実入りは不向き。加熱した果物入りは可能 | 室温で自然解凍 |
和菓子 | ○ | 1個ずつラップに包み密閉袋に保存 |
室温で自然解凍 |
ベーコン | ○ |
小分けしてラップに包む |
冷蔵庫で自然解凍 |
トマト | ○ |
そのままで可能 |
流水をかけると皮がむける |
キノコ | ○ | 生で冷凍可能。洗わずに小分けして密閉袋に | 凍ったまま加熱調理 |
解凍時間の目安
冷凍した食材には、それぞれ適した解凍方法があります。
電子レンジで加熱して解凍する方法もありますが、室温で自然解凍するほうがおいしく食べれる食材もあります。どうしても時間がないときなど上手に電子レンジを活用しましょう。
食材 | 分量 | ベストな解凍方法と時間 | 最短電子レンジ600W |
豚薄切り肉 | 100g | 冷蔵庫約4時間 | 電子レンジ1分30秒 |
鶏もも肉 | 250g | 冷蔵庫約6時間 | 電子レンジ3分30秒 |
ひき肉 | 100g | 冷蔵庫約6時間 | 電子レンジ約2分 |
鮭の切り身 | 100g | 冷蔵庫約6時間 | 電子レンジ約1分45秒 |
ゆでほうれん草 | 120g | 自然解凍90分 | 電子レンジ約2分30秒 |
マッシュポテト | 80g | 自然解凍2時間 | 電子レンジ約2分45秒 |
ゆでかぼちゃ | 5個320g | 自然解凍約3時間 | 電子レンジ約4分30秒 |
ソーセージ | 5本100g | 電子レンジ1分 | |
さつま揚げ | 1枚60g | 電子レンジ40秒弱 | |
まんじゅう | 1個 | 自然解凍約1時間 | 電子レンジ約1分30秒 |
ご飯 | 茶碗1杯150g | 電子レンジ約2分30秒 | |
カレー | 1人分200g | 電子レンジ約3分30秒 |
(参考文献:REAL SIMPLE No.22 日経BP社発行)
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