飲みかけのペットボトルのお茶を飲んだらお腹が痛い…
こんな声がSNSで急増しています。
ペットボトルの飲料水の飲み方によっては食中毒になる可能性が高くなります。
あなたが当たり前に行っている行為はもしかしたら危険かも?
しかし、同じ飲料水でもお腹を壊しやすいものとそうでないものもあります。一体これはどうして?
どんな飲み方が危険で、どの飲料水が最もNGなのか、検証してみたところ、意外な事実が判明しました。
Contents
ペットボトルに繁殖する菌の原因は唾液
飲料水によって違う菌の増加数
さて、問題です。
①オレンジジュース、②スポーツドリンク、③緑茶、④麦茶
この中から菌が繁殖しやすいと思われる順に並べてみてください。
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24時間以内にもっとも菌が繁殖するのが、④の麦茶。次いで③の緑茶、➃のオレンジジュース、②のスポーツドリンクとなります。
その数、麦茶だと1mlあたり2万7千個、緑茶で1万個。オレンジジュースは緑茶の半分の5千個、スポーツドリンクに至っては1100個と低い数値。
イメージ的に、④のオレンジジュースは甘いし、腐りやすいように思い、1位に選んだ方も多いのでは?
たしかにオレンジジュースには、菌が好む糖質が多く含まれています。実は菌は炭水化物が大好き。
しかし、オレンジジュース自体が「酸性」ということもあり、菌の増殖が抑えられています。
一方、麦茶は炭水化物を多く含んでいる上に、菌にとって好都合の無添加で保存料が入っていないため、増殖し放題というわけです。
ちなみに麦茶や緑茶は「中性」です。
ここには列記しておりませんが、同じように牛乳成分(中性)の入ったカフェオレやミルクティなども危険。
一般的には菌が10万~100万を超えると腐敗の初期とされ、食中毒の危険性が出てくると言われています。上記の数値をみると即座に危険ということではないようですが、とはいえ夏場は特に細心の注意を払わないといけません。
口をつけた麦茶の菌は24時間で50倍以上に増加する
私たちの口内にはさまざまな雑菌があり、その数とやら大人では300~700種類の細菌が生息していると言われています。
ただ口内にある場合、唾液のもつ自浄作用で洗い流されたり、歯磨きをすることで口内が清潔に保たれたりしています。
本来、唾液は口内にある余分な菌を洗い流したり、細菌が過剰に増えないようにコントロールしてくれる役目を担っています。
ところがペットボトルに口をつけると、飲み口に唾液が付着し、そこから細菌が繁殖してしまいます。そのスピードたるや24時間で50倍以上というまさに驚異的な数値。
菌が繁殖しやすい温度は30~35℃前後
福岡市保健環境研究所が、口をつけたペットボトルの麦茶の細菌がどれくらいの気温で増えるのか実験したところ、菌が増えやすい気温は25℃~40℃で、もっとも細菌が発生したのは気温30℃~35℃前後というデータがあります。
30℃前後と言えば、まさに真夏の時期です。この時期、ペットボトルの飲みかけには注意が必要です。
飲みかけのペットボトルはいつまでに飲み切ればいい?
では、飲みかけのペットボトルはいつまでに飲み切ればいいのでしょうか?
福岡市保健環境研究所によれば、口をつけたあと、「何時間は大丈夫」という明確な区切りはないが、心がけが大切だと謳っています。
情報を集めたところ、おおむね半日以内で飲み切るのが望ましいという意見が多く、ペットボトルの状態によってもその時間は前後されるよう。
常温のままだと少なくとも4時間程度で飲み切ったほうが安全。ただし冷蔵庫など涼しい場所に保管することによって、菌は見られるものの増殖のスピードは遅くなります。その場合でも過信せずその日のうちに飲み切るようにしましょう。
口をつけていない場合でも4日以内には飲み切ります。
菌を繁殖させない飲み方の工夫
- 直接口をつけずにコップに注いで飲む
- 外出時でコップがない場合、「滝飲み」をする
- 短時間で飲み切れる小さめのサイズを選ぶ
- 冷凍したペットボトルを持ち歩く
- マイ水筒を持ち歩く
直接口をつけずにコップに注いで飲む
面倒ですが、ペットボトルは直飲みせずにコップに注いで飲むほうがいいでしょう。
ただし、コップに注いで飲んでいるからと言って過信は禁物。開封後のペットボトル内の飲料水は品質が劣化していきます。開封後はなるだけ早く消費するようにしましょう。
外出時でコップがない場合、「滝飲み」をする
外出先でコップがない場合、飲むときは、口をつけずにいわゆる流し込む形の「滝飲み」をしましょう。
とは言え、人前で滝飲みするのは見た目もあまりいいものではありませんね…。
そんな場合は…
短時間で飲み切れる小さめのサイズを選ぶ
小さいボトルに比べ大きいサイズのほうがお得感がありがちですが、短時間で飲みきれないと思った場合は、できるだけ小さいサイズのペットボトルを選ぶようにし、長時間かけてダラダラ飲まないようにします。
冷凍したペットボトルを持ち歩く
冷たい状態を保つと細菌が繁殖しづらくなります。と言うことは、ペットボトルを冷凍しておけば急激な菌の増殖は避けられます。
外出する前日にペットボトルに飲料水を入れて冷凍しておくといいでしょう。
ただ飲みたいときに凍って飲めない、水滴がついてカバンの中身が濡れてしまう、前日から冷凍しておかなければならないということから現実的ではないですね。
また冷凍に不向きな飲料水もあるので注意が必要です。
マイ水筒を持ち歩く
飲料水を持ち歩くときは、ステンレス製の水筒にしましょう。
プラスチック製の水筒では、ペットボトルと何ら変わりがないのでおすすめできません。ステンレスボトルであれば、外気の温度の影響を受けにくく、冷たい状態を長くキープできます。
ただし、菌が繁殖しないわけではありません。こちらも過信せず早めに飲み切ることが大切です。
車内に置きっぱなしのペットボトルは飲まない
炎天下の車内に置きっぱなしのペットボトル。まさかと思いますが、次に車に乗ったときにその飲料水を飲んでいませんか?
これ、絶対にやめましょう。
前述したとおり、菌がもっとも増殖する温度は30℃前後。真夏の車内はすぐに菌が増殖してしまいます。
ただ気温25℃で車内は70℃くらいになると言われます。
そうなると菌も死滅してしまいますが、別の問題をはらんでいます。
未開封のペットボトルの飲料水を車内に置きっぱなしにしておくと、高温によって中の空気が膨張し破裂する危険性があります。
また透明なペットボトルは、レンズのように作用し火災の原因にもなりかねません。
飲みかけのペットボトルを放置すると事故の原因になる
ペットボトル入りの炭酸飲料を飲み残してフタをしめたまま常温で1ヶ月放置していたところ、いきなり破裂した…という事故があちこちで寄せられています。
これは、ペットボトル内の菌が増殖することによって発酵がすすみ、発酵の過程でガスが発生します。密閉されたガスは逃げ場を失い、内圧が高まってバーン。破裂してしまった事例です。
その際に、骨折や、目に当たり眼球をケガをした方もいるようです。
飲み残しはすぐに処分することが大切ですね。
Note
さまざまな問題をはらんでいるペットボトルの飲料水。とは言え、夏場は特に熱中症対策のために水分補給は欠かせません。
なるだけ一度に飲み切れる量のペットボトルを買い、できれば夏場の高温の時期に持ち歩いて飲む飲料としては、麦茶よりもスポーツドリンクにしたほうがいいですね。