あなたは経験ありませんか?
何気なく物を持ち上げたときに、しかも重たいものではない、わずかコピー用紙1枚をデスクから取り出したときに突然ギクッと腰に電流が流れ、痛みが生じたこと。
または歯を磨いていて、口を濯ごうと前かがみになった瞬間にギクッ。
日常生活の些細な動作で動けなくなるほどの腰痛に苛まれたこと。
現代人は知らぬ間に腰に負担をかける生活を送っています。
それは、手を伸ばして遠くのものを取るなどの何気ない動作だったりします。
実は一見楽に見える動作が腰に負担をかけている場合があります。
急に激しい痛みを起こす腰痛にならないために普段の動作を見直してみましょう。
Contents
腰を痛めやすいのはこんな瞬間
前かがみになる、物を持ち上げる…という些細な日常動作ですが、実は危険がいっぱい。
どんなシーンで腰痛を起こしやすいのか、また対処法はどうなのか1つずつみてみましょう。
洗面所で顔を洗う
ひざを伸ばした状態で前かがみになると、たとえ1~2分の時間でも腰にとっては大きな負担となります。洗面台の高さが低すぎるというのもNG。
下腹部に力を入れてひざを曲げ、ゆっくりと上体をかがめます。このとき、ひざを洗面台のキャビネットなどに当てると体が安定するため、腰への負担も軽減できます。
靴下を履く
朝は足腰の関節も硬くなっています。立ったまま靴下を履こうとすると、体が前かがみになり、不安定な体位を支えるために腰に大きな負担がかかってしまいます。
靴下を履くときは椅子に座って姿勢を正します。
なるべく前かがみにならないように、足を体のほうに引き寄せるようにして履きます。反対の足はしっかりと床につけて体を安定させること。
冷蔵庫の下段から物を取り出す
少し離れたところから冷蔵庫に入っている食材を取り出そうと、上体だけを曲げて取るのは危険です。重いものなどを持ち上げるときはできるだけものに近づくのが基本!
できるだけ持ち上げるものに近づき、しっかり腰を下ろします。できればひざを床に着くのがいいですね。その際、腰を上げて立つときは重いものをしっかり抱えてからです。
洗濯ものを干す
洗濯ものが入ったカゴを地面に置き、腰を曲げて洗濯ものを取り出して干す動作をくり返し続けると腰に負担がかかります。特に上体をひねりながら取り出すのは危険。
洗濯カゴを物干しに下げるか、腰くらいの位置に置いて干すと、いちいち腰を曲げずに干すことができます。
洗濯ものが多い場合、腰を曲げずに済むくらいの台を用意し、そこに洗濯カゴを置いてから干すようにしましょう。
洗濯は毎日のことなので悪い姿勢をくり返し続けていくとある日、突然…ということになりかねません。
面倒でも専用の台を用意しておくといいですね。
洗い物をする
食器洗いなどの水仕事は意外と時間を取られます。
長時間前かがみの姿勢を続けると腰に負担がかかってしまいます。特に前かがみになったときに、ひざが伸びていると負担が大きくなっています。
できればシンクの高さはやや高めがおすすめです。賃貸やすでに設置されている場合、どうしようもないですね。
そのときは足元に10~15cmくらいの台を用意し、下腹に力を入れて背筋と首筋を伸ばし、片足を乗せると腰が楽になります。ときどき乗せる足を替えて作業します。
急に激痛に見舞われたときの対処法
万が一、ギクッと腰に激痛が走り、動けなくなってしまったときの病院にいく前の対処法です。
※くれくれも専門医に診せたほうがいいです。とりあえずの対処法としてみてください。
痛みが強くて動けない
強い痛みのため動けない場合は、できるだけ痛みの少ない姿勢で横になり、安静にして様子をみましょう。
痛みの期間は人それぞれで2~3日安静にしておくと徐々に軽減していきますが、1~2週間痛みが続くこともあります。
背中を丸め、両ひざを抱えるようにして横向きに寝ると楽です。両ひざの間に枕やクッションなど挟むと楽になることもあります。
仰向けに寝たほうが楽だと言う場合、ひざの下に枕やクッションを置き、股関節や膝の関節を曲げた状態で休みます。
安静にすると同時に患部を冷やすことが大切。
保冷剤や、冷湿布などで痛む部分を冷やすと和らぐ場合があります。
これらの処置をしても痛みが治まらない、どんどん痛みが増していくという場合はすぐに医療機関を受診しましょう。
激痛が和らいで動けるようになったら
安静にしていて徐々に痛みが和らいできたなら、ずっと寝たままでいるよりも少しずつ動いたほうが回復が早まります。
ただし、腰に負担がかかる姿勢や動作は避けましょう。
やってはいけないNG動作
- 前かがみになる
- 中腰になる
- 後ろに反り返る
- 長時間座る
- 車の運転
市販のコルセットを利用する
※画像をクリックすると詳しい商品サイトに飛びます
市販のコルセットや腰痛用のベルトを利用すると、良い姿勢が保ちやすく、腰が安定するので活動がしやすくなります。
ただ装着し続けると、筋力が弱まることもあるので、使用する場合は医師のアドバイスを受けたほうがいいでしょう。
痛みがほとんどなくなったら患部を温める
痛みがほとんどなくなったら、普段の生活に戻しながら再発しないような工夫が必要です。
痛みが激しいときは患部を冷やすことが大切でしたが、痛みがなくなったときは、腰を温めると楽になる場合があります。
電子レンジで温めるタイプのホットパックや使い捨てカイロを患部にあててみましょう。
万が一、温めて痛みが増すようなら、炎症がまだ治まっていないのですぐにやめましょう。
再発防止のために意識すること
座位は腰に負担がかかっていることを知る
座っているほうが楽なように感じますが、実は座っているほうが立っているとき以上に腰に負担をかけています。
良い座り方
椅子に深く腰掛けて、背筋を伸ばし、お腹は軽く引き締め、股関節・ひざ関節・足首の角度は90度に保つのがよい姿勢です。
椅子の座面は硬めのほうがよく、座板やクッションなどを置いて後ろを高く、前を低くすると傾斜がつき、脊椎のS字カーブを正しく保つことができます。
床に直接座る場合は正座が一番です。
どうしてもしびれる場合はお尻の下にクッションや座布団を置くと楽になります。
あぐらをかいたり、足を前に投げ出す姿勢は、腰に大きな負担をかけます。
横座りなら、ときどき足を出す方向を変えるといいです。
S字カーブの姿勢を意識する
再発防止には、腰に負担をかけない姿勢を常に意識することが大切。
正しい姿勢とは、脊椎(せきつい)は前後に少しずつ湾曲してS字カーブの形になっているため、これを維持するような姿勢です。
- 頭のてっぺんを持ち上げるような気持ちで背筋を伸ばす
- お尻と肛門の筋肉を締めて緊張させる
- あごを引き、肩の力を抜く
この3つを意識すると、正しい姿勢を保つことができます。
30分に1回は動作を入れる
またデスクワークなど長時間座り続けて行う作業、車の運転、電車や飛行機などの長時間の移動で同じ姿勢を長く続けると、腰にとって大きな負担がかかります。
同じ姿勢でいるのは1時間が限度。
できれば30分ごとに立ち上がる、歩く、体を動かす、手を頭のうえまで伸ばして背筋を伸ばすなどの違う動作を加えましょう。
日ごろからウォーキングなどで腰を支える腹筋、背筋、下肢の筋肉を鍛えるようにしましょう。
(参考文献:REAL SIMPLE No.16 日経BP社発行)
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