アパートとマンションはどう違うのか疑問をもったことはありませんか?
賃貸住宅を借りるとき違いがわからなければ判断に困ります。
住んでから後悔しないようにしっかり基礎知識をつけて物件探しに臨みたいものですね。
それぞれのメリット・デメリットを踏まえ快適住空間を手に入れましょう。
アパートとマンションはどこが違う?
宅地建物取引業法での明確な区切りはない
アパートと聞くと、木造2階建てでドアを開けたらキッチンがすぐあるような間取りを連想します。
かたやマンションというとエレベータがついていて、鉄筋コンクリートのがっしりとした建物を連想するのではないでしょうか?
確かに物件のイメージとしての区切りはあるかもしれませんが、実のところ宅地建物取引業法ではアパートとマンションの明確な定義はありません。
物件名は自由につけられる
例えば「メゾンド・シャン・ドール○○」などおしゃれな物件名の資料をよく見ると、建物の構造が木造2階建てというものもあります。
これは家主や不動産会社が物件のイメージアップを図るためつけられたもので、木造アパートに「○○マンション」というネーミングをつけたとしても違法ではないのです。
マンションは英語では大豪邸
日本で「アパート」と言うと木造で壁が薄く、遮音性も悪く、そのため賃料が安いというイメージですが、海外で「アパート」というと集合住宅を指し日本でいう「マンション」となります。
高級アパートは「コーポ」と呼ばれます。
日本でコーポはアパートに近いイメージがあり感覚はかなり違ってきますね。
ちなみに英語で「マンション」は「大豪邸」。
海外の方に「マンションに住んでいる」と言うと
「わお!」
と驚かれお金持ちと思われてしまいます。
物件のネーミングは誰が決める?
アパートとマンションの区切りに明確な定義がなければ、好きなように名前をつけることができるわけです。
家主と不動産会社で物件名を考えるとき、「○○荘」や「○○コーポ」より「ガーデンハウス○○」や「グラン・ルーチェ○○」などのほうがイメージがいいし、ネーミングも商品価値を高めるツールになるので目に留まりやすいものにします。
そのような背景があるので物件名だけではアパートかマンションかを判断することはできません。
アパートとマンションを区切る基準
それではアパートかマンションかを区切る基準は?
実はこれも明確な基準がありません。
ただし一般的に呼ばれる物件の特徴として、アパートと言えば木造建て、軽量鉄骨造(プレパブ工法)。
マンションであれば、鉄骨コンクリート造(RC)、鉄筋鉄骨コンクリート造(SRC)、軽量気泡コンクリート(ALC)が不動産会社が区分する一般的なものとされています。
ざっくり分けている不動産会社もある
不動産会社の中では、明確に線引きしているところもあります。外からみた構造面だけで判断すると、下記のように分けられます。
- アパート
・基本は2階建て
・木造または軽量鉄骨造
- マンション
・階数に制限がない
・鉄筋コンクリート造
構造の違いを見る
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しかしながら外観をみただけでは判断がつかないことがあります。
最近ではこれはアパート?と言うようなしゃれたデザインの物件や、箱型で鉄筋のように見えて実は木造というものもあります。
物件名や外観を見るのではなく、物件資料に記載している建物の構造をみて判断するようにしましょう。
建物の遮音性について
木造やプレハブ造の場合
木造やプレハブ造は、どうしても壁が薄く生活音が聞こえやすくなります。
上の階の歩くときの音や、トイレを流す音、ひどいところではくしゃみまでしっかり聞こえてしまう場合もあります。
木造なので遮音性が低いとは限らない
ただし間取りによって違いが出てくる場合も。
階段近くの間取りだと階段を上り下りする音が聞こえるなど騒音リスクが高まりますが、同じ建物であっても、角部屋や最上階だと音が響きにくいこともあり遮音性が違ってきます。
木造でロフトがある間取りは、上の階と天井との間に空間がない可能性もあり、音が響きやすくなるので注意が必要です。
鉄筋コンクリートなどの場合
鉄骨コンクリート造(RC)、
鉄筋鉄骨コンクリート造(SRC)、
軽量気泡コンクリート(ALC)構造の場合、
木造や軽量鉄骨と比べ、遮音性は高いと言えます。
コンクリートで造られた壁は、木造よりも厚くなっていることが響きにくい要因のひとつです。
鉄筋だからと安心はできない
一概に鉄筋だからといって遮音性が確保されているわけではありません。
それはマンションを建てるときの工法によって違ってくるのです。
マンションといいながら、隣との壁が薄い物件も確かに存在します。
隣の音の状態は壁のコンクリートの厚さによって左右されます。厚さが180mm以上あると音は響きにくくなります。
建物の外の騒音も関係
壁の厚さだけでなく、窓の構造も遮音性に大きく関係します。
物の外が大きな道路に面していたり、線路がある環境の場合、二重サッシや防音サッシになっていれば騒音は軽減されますが、普通サッシだとうるさく感じる方も多いようです。
機密性を考える
一般的にSRC、RC、ALC構造のほうが機密性は高くなります。
機密性が高いということは自然に換気ができない状態のため、窓を開けたり、換気扇を使用して換気をしなければ、結露やカビの原因となってしまいます。
木造の機密性は?
木造がコンクリート造の建物の比べ、冬は寒いのは機密性が低くなるためです。
風通しがよくなるため結露やカビのリスクは軽減されますが、寒いです。
また冷暖房効率は悪くなってしまいます。
機密性によって変わる電気代
エアコン売場で「木造8畳、鉄筋12畳」という記載があった場合、単純に木造なら8畳までしか冷やせない、鉄筋なら12畳まで大丈夫と捉えがちですが、構造だけでは決められません。
この表記にある本当の意味は機密度や断熱性が低い木造は8畳、機密性や断熱性の高い鉄筋は12畳、構造よりも重要なのは機密性と断熱性です。
エアコンの能力(kw)と畳数の関係を知る
エアコンを選ぶときの目安として、
- 冷房2.2kw/暖房2.5kw…木造6畳・鉄筋9畳
- 冷房2.5kw/暖房2.8kw…木造7畳・鉄筋10畳
- 冷房2.8kw/暖房3.6kw…木造8畳・鉄筋12畳
- 冷房3.6kw/暖房4.2kw…木造10畳・鉄筋14畳
- 冷房4.0kw/暖房5.0kw…木造12畳・鉄筋16畳
- 冷房5.6kw/暖房6.7kw…木造16畳・鉄筋20畳
- 冷房6.3kw/暖房7.1kw…木造18畳・鉄筋24畳
となりますが、6~9畳用とかいてあれば、「木造平屋南向き(和室)なら6畳」「鉄筋マンション南向き中間階(洋室)なら9畳」という意味です。
エアコンの効率を見る
鉄筋の建物でも天井高がある物件だとエアコンの効率は悪くなります。
また西向きで西日が強い部屋は実畳数よりも多くみたほうがいいようです。
木造、鉄筋だけではエアコンの効率は測れないので部屋の状態をみて考えましょう。
入居してか冷暖房の効率が悪くやたらと電気代がかかってしまうようなら困りものです。
マンションVSアパートを比較
マンション
メリットは快適さ
マンションのメリットはなんと言っても、鉄筋コンクリート造のため強度があり、遮音性、耐震性、耐火性にすぐれているということ。
また防犯カメラの設置やオートロックなどセキュリティ面でも安心です。
さらに比較的駅から近いなど利便性のいい立地に建てられています。
デメリットは賃料
マンションはアパートに比べ設備等に費用をかけているため建築費が高くなります。
そのため賃料もアパートに比べて高くなります。
ここでいう賃料とは、家賃と共益費を合わせたものを言います。
余談ですが物件によっては水道代が定額というものもあります。
またアパートだからといって共益費がないかと言えばそうでもなく物件次第になってきます。
同じ賃料の場合、マンションはアパートよりも部屋が狭くなります。
アパート
メリットは賃料の安さ
マンションに比べて部屋は広めになり、賃料は安くなります。
また、最近のアパートではロフトがついているものも多く、おしゃれな間取りや外観がかわいらしいものも出てきました。
デメリットは管理人不在
駅からはやや距離がある郊外型が多く、マンションに比べると遮音性、耐震性、耐火性が低くなります。
また管理人が不在のところが多いのでエントランスや郵便受けなどきちんと清掃がなされていない物件もあります。
借りるときに気にしておきたいこと
女性ならマンションがおすすめ
広さと安さを重視したいならアパートですが、女性は特に防犯性を重視して物件を探すようにしましょう。
オートロックや防犯カメラなどのセキュリティーはアパートに備わっていることはあまりなく、ほとんどがマンションに多い設備になります。
賃料は高めになりますが、安心料として考えましょう。
借りるときには入居者もチェック
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物件をみるときに注意したいのが、どんな入居者が住んでいるのかということ。
もちろん内覧のときはそこまで見ることはできませんが目安はつけられます。
例えば玄関前のスペースは共用部分ですが、そこに私物を散乱させているような入居者はモラルが低いと判断がつきます。
郵便受けに色あせたチラシが山のように積んである物件もルーズな入居者か、長期不在なのかの目安がつきます。管理会社も巡回してないと察しがつきます。
また反社会的勢力の関係者が住んでいないかどうか確認する必要があります。
これは不動産会社に尋ねるといいでしょう。こちらについては重要事項説明でも説明事項になっています。
築年数は重要
物件の築年数は物件を決めるにあたって重要ポイントになります。
新築がベストですが、希少物件であり賃料も高めになってきます。
築年数は5年以内のものが理想ですね。
同じ賃料で築年数が古いマンションと新しいアパートでは、一般的には後者のほうが快適です。
新しい物件のほうが防音性に優れている
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ではなぜ新しいアパートのほうが優れているのでしょうか?
建築技術も日進月歩進化しています。
断熱材ひとつにしてもより音が響かないものを採用しています。
同じ間取りでも築年数の違いで防音性が違ってくることはあり得ることです。
マンションでも音漏れがする物件もある
マンションだから、音が響かないとは限りません。
分譲賃貸マンションはある程度のグレードを保っていますが、賃貸マンションの場合、建築コストの絡みで隣との壁が薄い物件も存在します。
内覧のときは隣との壁をコンコンと叩いてみて音の響き具合を確認しましょう。
知っておきたい専門用語の意味
1Kと1DKの違いはキッチンの広さ
部屋の広さをあらわす表記は、1R、1K、1DK、1LDK、2DK……5LDKとあります。
数字は部屋数のこと。
1は部屋が1部屋、
2は2部屋。
ワンルームは「1R」と表記されることが多く、R=Room(ルーム)、つまり1部屋という意味です。
Dは、ダイニング、Lはリビング。
それをつなげて1DKなら、1つの部屋とダイニングキッチンが1つある間取りということになります。
1LDKは、部屋が1つとリビングとダイニングキッチンがあるという意味です。
+Sはどういう意味?
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よく、3LDK+Sという表記をみかけますが、これはサービスルームのS、納戸ということです。
たまに+Fと表記されているものがありますが、これはフリールーム(多目的に使用する部屋)のことで、サービスルームとほぼ同義語です。
メゾネットVSロフト
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メゾネットというのはマンションで上下2階にわたる住戸のことです。
ロフトは屋根裏部屋のこと。
1つの階にある天井までのスペースに敷居を入れ、そこをスペースとして有効活用したものです。
ワンルームマンションやアパートに多く、「ロフト付アパート」や「ロフト付ワンルームマンション」と表記されていたらロフト付物件です。
記号について
設備の記号は
- CF=文字通りCushion(クッション)floor(床)、塩化ビニール系の床材でやわらかくクッション性にとんだ素材です。
-
CL=居室に設置された収納庫(クローゼット)のこと。ちょっとした部屋のようなスペースになっている歩けるタイプのクローゼットはウォークインクローゼットといい、WICとも表記されています。
間取り図の記号は
- UB=ユニットバス。浴槽・床・天井・洗面台が一体化されているスペースのこと。
その中にトイレも含まれていると勘違いされやすいですが、トイレが中にあるものは、「3点ユニット」と呼びます。
-
UT=ユーティリティ。主に家事などで利用されるスペース。洗濯機置き場や洗面所に対して表記されていることが多いです。
共用部分などに使われる記号
- EV=エレベータースペース。エレベーターがある位置に表記されています。
- MB=メーターボックス。電気の検針盤などが設置されているスペース。玄関前などが多いです。
ちなみにバルコニーも共用部分にあたります。
Note
アパートとマンションの違いはなんだかあいまいでスッキリとしないものですが、物件を見るうちにこれはアパートだな、これはマンションだな…と自分なりの定義を決めてみるといいでしょう。
ネーミングにこだわることなく要は自分にとって快適に住めるかどうかがポイントになってきます。
物件を多くみて目を養うことが成功の第1歩です。