鏡に映った顔に見慣れない黒いものが…
それは擦っても取れない、顔を洗っても落ちない…
日焼けした覚えもないのに、この黒いものはいつの間に現れたのでしょうか?
身に覚えがなくても過去に浴びた紫外線の影響で、30代後半になるとシミが増えてしまう現実があります。
でも早めに気づいたあなたはラッキー!
できてしまったシミをできるだけ薄く、そしてこれ以上シミを作らないために心得えておきたい10つの方法を紹介します。
Contents
シミを防ぐ10の方法
1.紫外線量の多い時期と時間帯を知る
シミの原因は主に日焼けによって起こります。紫外線を浴びなければ日焼けをすることもなく、シミにもなりません。しかし日常生活において全く紫外線を浴びないようにすることは不可能です。
そこで紫外線の照射量の多い時期や時間帯を知っておき、シミを防ぐ工夫が必要です。
- 照射量が多い時期:4月~9月
- 1日のうちで紫外線量が多い時間帯:10時~14時
- UV-Aにも注意する
日焼け止めは年中使用するのが理想ですが、照射量が多い時期や、紫外線が多く降り注ぐ時間帯には特に日傘や帽子を活用しましょう。
また紫外線の波長を知っておくことも大切。紫外線にはUV-A(紫外線A波)と、UV-B(紫外線B波)があります。
海水浴やレジャーなどの急激な日焼けで皮膚に炎症を起こすのはUV-B。UV-Bは地表に届く全紫外線の約5%を占め、強力なパワーで日焼けを起こし、シミの引き金になります。
おもに肌の表面で吸収され、肌の奥まで達することはありませんが、表皮の細胞のDNAを損傷して火傷のように赤くなったり、メラニン色素が沈着してシミやソバカスの原因になります。
紫外線を浴びることによって生じるシミ、シワ、たるみなどを光老化と呼び、光老化の主体となるのはUV-Bですが、UV-Bだけがシミの原因になるわけではありません。
波長の長いUV-Aは全紫外線のうち約95%を占め、それ自体のエネルギーは弱いものの、照射量が多く、浸透力が高いので、窓ガラスを通して室内に入り込みます。
浴びたUV-Aの20~30%が肌の奥の真皮層まで達すると言われ、ハリや弾力を生むコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸などを作り出す繊維芽細胞に損傷を与えてしまいます。
朝、日焼け止めを塗るまではカーテンを開けないなどの工夫が必要です。
- 波長が長く、表皮だけでなく肌の奥の真皮まで届く
- 窓ガラスを通して室内にも入り込む
- 赤みや炎症が起きにくいので気づかない
- 日常生活の中でうっかり日焼けをしやすい
- 波長が短く表皮に届く
- 屋外での日焼けの主な原因
- 肌に強く作用し多量に浴びると炎症を起こす
- 海水浴やレジャーなどでの日焼けはUVB
2.日焼け止めの選びかた
日焼け止めに記載されているSPF値とPA値とは何でしょう?
SPF値
何も塗っていない肌と比べたとき、UV-Bをカットしてどれだけ日焼けをおこさずにいられるかを示した数値です。つまりUV-Bを防ぐ効果指数のこと。
たとえばSPF30だと、約20分×30倍=600分(10時間)の日焼け防止効果があるということ。
ここで20分と出てきましたが、日本人が日焼けを起こすまでにかかる時間を割り出したら平均20分だったことから20分を基準に計算されています。
SPFの数値が大きければ効果があるように感じますが、肌へのダメージもあるのでケースバイケースで選ぶようにしましょう。
- SPF10~20:屋内中心の日常生活
- SPF30~:屋外で過ごす時間が長い日
- SPF40~:炎天下のレジャーやリゾート
PA値
UV-Aをどれだけカットできるかを「+」で示したもの。つまりUV-Aを防ぐ効果を表す目安。
4段階の「+」マークで表示され、+が多いほど防御効果が高くなります。
SPF値に比べると、PA値は軽視されがちですが、UV-Aはシミの原因となるほか、繊維芽細胞に損傷を与えるためしっかりとケアしましょう。
- PA+:屋内中心の日常生活
- PA++:買物やスポーツなど長時間の外出
- PA+++:炎天下のレジャーやリゾート地でのマリンスポーツ
- PA++++:非常に紫外線の強い場所や紫外線に特別過敏な方
紫外線カット成分は、吸収剤と散乱剤の2種類があり、まれに吸収剤でかぶれなどを起こす方がいます。
かぶれやすい方は、ノンケミカル処方、紫外線吸収剤無配合と書かれた散乱剤だけで作られた日焼け止めを選びましょう。
3.シミを増やさない日焼け止めの塗り方
SPF値もPA値も表示通りの防御力を発揮するには、十分な量をつけることが大切。
製品に表示されている数値は、肌1㎠あたり2mgの塗布して測定されたもので、化粧品業界で定められた測定基準です。
ところがほとんどの人が1.0~1.3mgの量しかつけておらず、これでは紫外線防止効果は半分どころか1/3~1/4まで落ちてしまいます。
肌1㎠あたり2mgと言うと、顔全体では大粒のパールひとつくらいの量です。
効果を得るための塗り方は、
- 適量を半分に分け、一度顔全体に均一に塗り伸ばしてから、もう1度上から重ね塗りします。
- 頬骨の上からこめかみにかけては、帽子や日傘でも避けられない横から差す紫外線でシミが濃くなりやすい箇所です。塗り忘れないようにしましょう。
- 耳の後ろ、首筋、デコルテ、手の甲も忘れずに塗りましょう。
4.ハイドロキノン誘導体とビタミンC誘導体
できてしまったシミを薄くするということで、ハイドロキノン誘導体とビタミンC誘導体が注目を集めています。各メーカーが注力して開発に手掛けている背景があり、美白に対して高い効果が期待できます。
ハイドロキノンはメラニン色素の合成を阻止したり、メラノサイトに働きかける成分で、同様にその成分に似せて作ったものがハイドロキノン誘導体と呼ばれています。
アメリカでは美白と言えばハイドロキノンが主流ですが、日本では医師の管理下でのみ使われており、2001年の規制緩和によって化粧品にも使用されるようになった成分です。
肌を漂白する作用を持ったハイドロキノンは、医師の監督のもとできちんとコントロールされた状態での使用となり、化粧品に配合されている場合、化粧品や薬用化粧品の効能効果の範囲を逸脱しない量になっています。
美白成分の代表選手といえばビタミンC誘導体。そのままでは壊れやすく、浸透しにくいビタミンCを安定化させて浸透力をアップさせたものを言います。
安全性も高く、敏感肌の方でも安心できる成分で、メラニンの生成を防ぎ、肌のターンオーバーを促進する働きも持っています。
ただ美白化粧品は、根気よく続けることが大切です。できてから時間が経っているシミや、紫外線で色素沈着を起こしたニキビ跡には、結果が出始めるまでに時間がかかります。
少なくともターンオーバーのサイクルの1ヶ月以上は継続して様子をみてみましょう。
5.ストレスをためない
精神的・肉体的にストレスが高い人は、低い人よりシミができやすい傾向にあります。
人間の体はストレスを感じると、身を守るためにコルチゾールというホルモンの分泌が増えます。コルチゾールはメラノサイトを活性化させる特徴があり、シミができやすくなります。
強いストレスは美肌に欠かせないビタミンCの消費が増え、毛細血管から肌に充分な栄養が行き渡らなくなるなど間接的にシミのできやすい状況を招きます。加えて免疫力も低下するため吹き出物やニキビの跡がシミになることも大いに考えられます。
シミ予防の対策として
- バランスのいい食事をする
- 質のよい睡眠を取る
- ストレスをためないように楽しいことを見出していく
6.角質をためないことも大切
シミはメラニン色素が部分的に多く作られて肌表面にたまった状態です。
健康な肌はメラニン色素がターンオーバーによって皮膚の下から上に押し上げられ剥がれ落ちますが、新陳代謝が滞るとメラニンもいつまでも肌に留まることになります。
古い角質は定期的に落とすようにしましょう。
角質を除去するには、スクラブ剤を使うほか、日本古来の美肌成分の米ぬかを使った洗顔料を使うのもおすすめです。
米ぬかには角質を落とす洗浄成分のほか、美白に効果のあるビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンEが含まれています。
7.食やサプリで抗酸化力を高める
体に十分な抗酸化力があれば、紫外線を浴びてもシミを防ぐことはできます。
抗酸化力とは、老化や病気の原因である活性酸素を防ぐ力のこと。抗酸化物質は体内でも作られますが、加齢とともに減少します。
紫外線の量が増える夏は特に食事やサプリで抗酸化成分を補うことを心がけましょう。
抗酸化成分としておすすめなのがアスタキサンチン。併せてビタミンC、ビタミンE、βカロチン、ポリフェノールなどです。
アスタキサンチンはコエンザイムQ10の約1000倍のパワーがあると言われる美容ケア成分です。
また高い保水力を誇るプロテオグリカンは、肌の弾力を保ち肌をみずみずしく保つことによって肌の乾燥やシワの防止になり、シミの素になるメラニンの生成を抑えてくれるので色素沈着の予防に役立ちます。
食事で摂るなら
- サケ
- 緑黄色野菜
- かんきつ系のフルーツ
- ベリー類
- 海藻類
- 豆類
- お茶・ワイン
8.紫外線を浴びてしまったときの対処法
もしも紫外線を浴びてしまったら、一刻も早くケアすることが大切です。
赤みや火照りがある場合は、冷たいタオルや水で冷やすことが先決です。保冷剤や凍らせたペットボトルにタオルを巻いて冷やすのもいいでしょう。
そのあと、肌に刺激が少ない化粧水で十分すぎるほど水分を与え、乳液で保護。このときに化粧水がしみるようならまだ肌に熱がこもっているので、再度冷やすことに専念します。
美白コスメを使うときは、炎症や火照りが完全に引いてからにしましょう。炎症がない場合は、紫外線に当たったその日の夜からハイドロキノンを配合した美白コスメの使用をおススメします。
9.肝斑(かんぱん)の見極め方
肝斑とは、頬骨の辺りに左右対称で輪郭がハッキリしない形でモヤッと雲が広がったようにできるシミです。
30代~50代前半までに最も多く現れます。女性ホルモンが関与して発症し、妊娠やストレスで悪化するほか、閉経後には薄くなると言われています。
肝斑を薄くするには、ホルモンバランスを整える規則正しい生活を心がけ、トラネキサム酸という内服薬が有効と言われています。
皮膚科で処方してもらうか、第一三共ヘルスケアが販売している「トランシーノ」がおススメです。
10.漢方で血流の滞りを解消
漢方ではシミは「瘀血(おけつ)」としてとらえ、血液の滞りが蓄積してできると考えられています。
瘀血によって引き起こされる症状として、生理不順、生理痛、冷え、むくみなどがあり、これらを改善するために漢方薬を服用したところ、シミが薄くなったと言う話があります。
そもそもシミを薄くするために用いられたわけではないため、シミに効く漢方ということではありませんが、血行がよくなることで体質が改善され、結果シミが薄くなったと考えていいでしょう。
瘀血の改善として用いられる漢方は、
- 加味逍遥散(カミショウヨウサン)
- 当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)
- 桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)
- 桃核承気湯(トウカクジョウキトウ)
などがあります。
漢方を服用する際は、専門家のカウンセリングを受けましょう。人それぞれの体質によって処方するものが異なります。
(参考文献:REAL SIMPLE No.31 日経BP社発行)