前回、子どもの教育費がひとり1千万円かかることをお伝えしました。
確実に必要となる時期が明確なお金は教育費をおいて他にはありません。
そのときに慌てないためにコツコツと貯めておかなければなりません。
あなたはどのタイプですか?
教育資金の作り方はどうする?
教育資金に対する考え方
例えば家を建てようとコツコツ貯めていたとしても本当に思った時期に購入するかといえば不明ですよね。
車にしても同じです。
老後の資金にしても人それぞれ現役で働く年齢はまちまちです。
しかし教育資金だけは「待ったなし!」です。
オギャーと産声をあげたその日から6年後には小学校入学。
15年後には高校入学と明確な青写真ができてしまってます。
使う時期が決まっている資金だからこそ、子どもが産まれたときから考えておかなければなりません。
まだ赤ちゃんなのに…と全く実感がわかないでしょうが、15年後、18年後はあっという間に確実に来てしまうのです。
一番教育資金が必要な時期は?
お子さんによって違いがありますが、オール私立だと早いうちから教育資金を準備しなければなりません。
一般的な例で、私立の幼稚園に通い、小中学校は公立、高校では公立か私立かで教育資金のかかる負担額が変わってきますが、だいたい、このあたりから教育資金が本格的に必要となる時期です。
しかし大学を視野にいれて考えると高校卒業以降が非常に教育資金がかかる時期となります。
学資保険を検討
まず最初に検討してほしいのが「学資保険」です。
学資保険はさまざまな商品がありますが、共通している内容としては
- お子さんの進学時期にあわせてお祝い金が支払われる。(中学校入学時、高校入学時など)
- 契約者である親が亡くなったり、高度障害となった場合、保険料の支払いは免除されるが保険は満期まで継続となる。
- 被保険者である子どもが亡くなった場合、死亡給付金が支払われる。
- 満期が18歳(大学入学時)となるので保険金が支払われる。
学資保険の加入は早ければ早いほうが月々の負担が軽くなります。
0歳から18歳までの間に300万積立てするのと、5歳から18歳まで同じ300万円を積立てするのでは月々の負担が後者のほうが重くなるのは当然ですね。
一般財形や銀行で積立てする
低金利といっても「チリも積もれば山となる…」で、地道にコツコツと積立てしていく方法もあります。
会社に財形貯蓄があればそれを利用するのがオススメですが、それがない場合は銀行や郵便局に預けるといった最もオーソドックスな方法もあります。
但しお金が足りなくなったからといって簡単に引き出しできるような普通預金だと、案外貯まらないものです。
定期預金か自動積立定期などにすることが望ましいですね。
また絶対に引き出さない口座と決めた「プール金口座」を作って貯めないと、先が長いのでなかなか続きません。
強い意志があり、18年間どんなことがあっても引き出さないという決意のある方には地道で確実な教育費となりますね。
児童手当は将来の教育費に回そう
意外と盲点なのは、この児童手当。
現在は子ども手当てから児童手当となり、中学校終了まで国内に住所を有する児童が対象で支払われます。
- 0歳~3歳未満は一律15,000円
- 3歳~小学校修了までは、第1子、第2子10,000円、第3子以降15,000円
- 中学生は一律10,000円
所得制限以上は一律5,000円で当分の間は特例給付となっております。
この児童手当、見過ごせません。
一番お金がかからない小中学校時代に、この児童手当を臨時収入とばかり使うのはもったいない!もともと貰わなかったお金としてそのまま貯蓄にまわしませんか?
学資保険を考えよう
では学資保険について検証してみましょう。
子ども保険と学資保険の違いは?
「子ども保険」と「学資保険」の違いは?
実は同じ種類のものです。
呼び名としては「子ども保険」が正解です。
「学資保険」というのはソニー生命やかんぽ生命などの保険の商品名です。総称して「学資保険」と呼ぶ人が多いため、「子ども保険」=「学資保険」となっているようです。
子ども保険(学資保険)の商品内容
では、子ども保険にはどのようなタイプがあるのでしょうか?保障内容は商品によって異なりさまざまなタイプがあります。
- 満期以外にもお祝い金(還付金)を受け取ることが出来るものがあります。中学入学時の12歳、高校入学時の15歳や、大学在学中に学資金が受け取れるもの。
- 医療特約付き…子どもの入院や通院などの際に医療特約がつけられるもの。
- 育英学資保険…契約者である親が死亡、または高度障害となった場合、年金や一時金が支払われるもの。
子ども保険(学資保険)のメリット
メリットとしては、学資保険を毎月積み立てることによって「強制的な貯蓄」ができると言うことです。
教育資金の準備は長期戦となり、必要になるのは高校から大学時となるため、その過程で住宅取得や急な資金繰りが必要となった場合、貯金や定期だと切り崩してしまいがちです。
こども保険の場合、解約しにくいことから他の資金に回すことができないため、確実に積立てられるというメリットが挙げられます。
子ども保険の満期は?
基本となるのは大学受験時の17,18歳満期です。商品によっては15歳、17歳、18歳、20歳、22歳などがあります。
保険料の払い込みはいつから?
なんと学資保険は生まれる140日前から加入することができます。
開始時期が早ければ早いほど、月々の保険料は安くなるので、学資保険の加入を考えているならできるだけ早めの加入がよいでしょう。
保険料の払い込みはいつまで?
満期にもよりますが、12歳、15歳、17歳、18歳、20歳です。
商品によっては満期が22歳でも、15歳、18歳などから選べるものもあるので早めに保険料の払い込みを終えたい場合、検討されてもいいでしょう。
お祝い金(還付金)は?
だいたい中学校入学時の12歳、高校入学時の15歳、大学入学時の18歳というタイミングで支払われることが多いようですが、大学では毎年学資保険がでるといった商品もあります。
医療保障は?
子ども自身の入院や手術などに備える医療保障が特約でつけられる商品もあります。
ただし自治体によっては医療費助成制度があるので無理に特約をつける必要はないかもしれません。
医療保障制度が切れるタイミングで加入を検討するのも保険料を抑えるポイントになるかと思われます。
子ども保険(学資保険)のデメリット
長期固定金利商品であること
子ども保険は加入時の運用利率がずっと適用される長期固定金利商品です。
予定利率が高い時期の加入で配当がある場合は「配当でおつりがでる」と言われますが、低い時期の加入ではそれは確実ではありません。
だたし上記の子ども保険のメリットでも述べたとおり強制的な貯蓄ができる点においては確実に貯めることができるので、教育資金の分別管理として考えるほうがいいでしょう。
保険会社の破たん
これは子ども保険に限らずどの保険に加入しても言えることですが、保険会社の破たんというのも注意すべき点です。
保険会社が破たんした場合、保険契約者を保護する制度はあるものの、満期保険金やお祝い金(還付金)などの減額もあり得ます。
加入の際は保険会社の財務格付けなどもチェックして加入することをオススメします。
子ども保険の商品
子ども保険には大きく3つのタイプがあります。
- 教育資金に重点をおいた学資保険
- 親に万が一のことがあった場合に子どもの教育費や医療保証に重点をおいたこども保険
- 上記1.と2.を組み合わせた商品
育英年金付学資保険
契約者である親が死亡または高度障害となった場合、満期になるまで毎月年金が給付される商品です。
保険料の支払いが免除となり、満期時には予定通り学資金が支払われますので、子どもの教育費用については心配がなくなります。
ただし保険料は高くなります。
親が生命保険などに加入している場合は十分それでカバーでき二重に保険をかけることなるので、あえて加入する必要はないかと思われます。
また、返戻率も低くなる場合もあります。育英年金は課税対象となるのでそこを踏まえて検討するほうがいいでしょう。
医療保証特約
子どもの入院や通院時に保険金がおりる商品。
入院特約を受けとるための必要な日数や通算日数、給付金額については商品によって異なるので、各会社の内容を検討して加入することをオススメします。
ただ子どもが入院する確率は思ったより低いもの。
万が一の場合にどうしても備えたい場合は月々1000円以下の掛け捨ての商品(全労済など)もあるので平行して検討するのも保険料を安く抑えるコツでしょう。
子ども保険のまとめ
各保険会社がいろいろな商品を展開しております。
特徴としては兄弟そろって加入すると返戻率がアップするタイプや110%超えの返礼率を誇るもの、満期金を早めに受け取ることができるものなどなど。
お子さんが将来どのような進路を辿るかわかりませんが、取りあえずは大学時の学費の保証というものを見据えて、医療保証や育英をライフプランに合わせて取捨選択してみてはいかがでしょうか?
保険以外で教育費を貯める商品
リスクを伴うものは教育資金としてはNG
金融商品はさまざまなものが出ております。
定期預金や、ネット定期、個人向け国債や、FXや株など。
中には、配当が期待できたり、利回りのいい金融商品も多々あります。
やはり預けたお金よりも多く配当(利息)がつくほうが嬉しいと思うのは当然です。
しかしそのような商品はリスクも伴い、もしかしたら元本割れしてしまうケースもあります。
「教育資金」を貯めるということにおいてリクスの高い商品は不向きです。
なぜなら教育資金というのは、使うべき時期が明確であるということ。
そしてその明確な時期にいざ使おうと思っても、元本割れしていたり、思うように貯まっていなかった、では済まされないからです。
家を建てようと資金を貯めていた場合、思うように貯めることができなかったので、来年、再来年に先送りということはあっても、教育資金においては、貯められなかったから1年浪人してね、ということはできません。
教育資金として考えるならば、地道にコツコツ、そして確実に貯まるという金融商品を選ぶということがポイントとなります。
「やめにくいもの」で貯めていくことがポイント
例えば教育資金を通常使っている普通預金口座に入れておくと、お金が急に必要になったときに手軽にATMで引き出せてしまいます。
あとで引き出した分を戻そうと思っていても、実際にはなかなかそうもいかないのが現状です。
そして通常使いの普通預金に入れると、生活費なのか、教育資金として貯蓄しているものなのか区別がつかなくなります。
なので生活費として使っている普通預金口座ではなく、別に口座を設けて貯めていったほうがいいでしょう。
またその際に口座の名義はお子さんの名前にしておくことをオススメします。
なぜならば、子どもの名前にしておくと、貯める側も自然と意識がついてくるからです。
これは子どものための教育資金として貯めているお金だと思うと、安易に引き出せないという心理も働きます。
金融商品の中には子ども名義の場合、15歳~16歳を超えると、本人の確認なしには勝手に引き出せないものもあるので、そういう商品を利用するのも一つの選択肢ですね。
ただし普通預金口座の普通預金に入れていたのでは、ほとんど利息は期待できません。
できれば定期預金にするか、積立にするかのほうがいいですね。
簡単に引き出せないし、普通預金に比べて少しは金利がいいです。
財形資金形成
財形資金形成とは、勤務している企業が提携している金融機関で行う積み立て型の資産形成のことをいいます。
一般財形・財形年金・財形住宅貯金の3種類があり、給与天引きなので確実に貯めることができます。
また給与天引きだとはじめからないお金として考えられるので、必要な時期がきたときにそんなに貯まっていたものかと安心できるのではないでしょうか。
自動積み立て型の定期預金
会社の財形貯蓄がない場合、自分で貯めるしかありません。
その場合生活費が余ったらから貯金に回そうでは、思うように貯まりません。
最初から必要経費とみなして予算を確保しないといけませんが、なかなかできないもの。
銀行の普通口座から、毎月一定額を自動的に積み立てる定期預金であれば、有無を言わさず引き落とされてしまうので、これも確実に貯まります。
積立額は金融機関によって異なりますが、1万円からはじめられるところが一般的なようです。
奨学金利用と教育ローンについて知っておこう
奨学金とは?
Marshall Scholarships / Foreign and Commonwealth Office
奨学金とは、経済的に余裕がなく進学できない学生を対象に、低金利で資金を貸し出すまたは給付する制度です。
卒業後に返済する貸与制度と、返さなくていい給付制度があります。
日本学生支援機構の奨学金は2種類あり、「第一種奨学金」は、成績が優秀な学生に無利子で貸与される奨学金です。
「第二種奨学金」は学力や家計基準が緩やかですが利子がつきます。
高校3年で高校を通じて申し込む「予約採用」と、大学進学後に大学を通じて申し込む「在学採用」の2つがありますが、いずれも受付期間が限定されているので注意が必要です。
そのほか地方公共団体の奨学金や民間の育英団体の奨学金などいろいろとあるので、情報収集は必要です。
しかし返さなくていい給付金制度には条件があり、その条件を満たさないと給付されないなど団体によってさまざまです。
たくさんあるので当てはまるものがあるかどうか確認してみましょう。
日本学生支援機構(JASSO)の「貸与奨学金」
奨学金として、もっとも受けやすいのが、貸与型の有利子のものです。
一般的なのは日本学生支援機構(JASSO)の「貸与奨学金」。
受け取った奨学金は将来返済しなければなりません。在学中に毎月、一定額を受け取りますが在学中は返済する必要がありません。
返済は卒業した後7ヶ月目から月賦で返すのが原則となっています。
JASSOの奨学金は無利子のタイプと有利子のタイプがあり、無利子タイプの申し込みの基準が厳しく家計の年収が会社員の4人世帯で781万円以下というのが目安になります。
また子どもの高校での成績も5段階評価で3.5以上と言われています。受け取れる額も国立大学か私立大学か、自宅通いかそうでないかで月額の金額が変わってきます。
有利子タイプは無利子タイプに比べて、条件が緩和されています。
金利水準がずっと変わらない固定方式と、変動する利率見直し方式の2タイプから選べ、いずれも年利3%を超えないように決められております。
奨学金は複数受けられる
奨学金はどれかひとつだけしか受けれないというわけではないので、情報の収集は必要になってきます。
また受ける時期についても決まっているものもあるので注意が必要です。
そして奨学金の中にはかけもちは不可のものもあるのでこれについても注意しましょう。
せっかく受け取れるようになったのに、そこでだめになっては元も子もありません。
教育ローンについて
Photo Credit: harshad.singh24 Flickr via Compfight cc
国の教育ローンや、金融機関の教育ローンを借りる方法もあります。
教育ローンは、無担保か有担保、固定金利と変動金利などあり、子どもが就職した後に子ども自身が返済を引き継ぐ「親子リレー返済」ができる金融機関もあります。
奨学金と教育ローンの違い
奨学金は子ども名義で借りるお金に対して、教育ローンは親の名義で借りるものです。
教育ローンは必要な額が一括で振り込まれ、利息は借りた時点から発生し返済開始は借りたあとすぐからとなります。
入学金や最初のまとまったお金に対して借りるのは年中申込可能で、申し込みから最短2週間でお金を受け取れる教育ローンが便利です。
但し上限があり350万円となっております。
賢い借り方
入学直後のお金が一度に必要な際に教育ローンを利用し、その後の前期、後期で支払う授業料については奨学金を利用するなど使い分けると便利です。
忘れてならないのがどちらも借金
しかし忘れてならないのは、教育ローンも奨学金も借金であるということです。
最近では、奨学金返済難民という言葉も出て社会問題にもなっています。
なるべくなら利用しないで済むように貯蓄や学資保険で賄うほうが理想ですね。
まとめ
幼稚園時代は私立に通わせるとなるとお金はかかりますが、公立の小中学校に上がるとそれほど教育費はかからない時期になります。
この時期にどれだけ教育費として貯蓄できるかがポイントとなります。
まだまだ先の話と思っていてもそれはあっという間に来てしまいます。
子どもが何人かいると教育費がだぶる期間もあるでしょう。教育費がかからない時期に計画的に資金計画をたて貯蓄しましょう。