私たちが必要なお金の中で教育費ほど明確なものはありません。
子どもがオギャーと生まれてから15年後には高校受験が待ち構え、さらには大学…。
これは予算の中で唯一、必要時期が明確なお金です。
そのときが来て慌てないために知っておきたい教育費についての解説です。
子どもの教育費について考えよう
子どもの教育費、ざっと1千万!?
子どもが生まれてから成人するまで一体どのくらい費用がかかるのでしょうか?
一般に言われているのは1人育てるのに1千万!
では3人子どもがいる場合3千万?!実に家が一軒が建つくらいの金額です。
本当にそんなにかかるものでしょうか?
また払っていけるのでしょうか?
しかし、現在の日本ではお金がなくて教育を受けさせられない…という声はあまり聞きません。
大学はとてもお金がいるとわかっているけど、結構当たり前に大学に行かせている家庭が多いのです。
実際は大学4年間通わせると数百万単位のお金がいるわけですが、どうやってやりくりしているのかとても気になりますね。
実際どれくらいかかるか検証してみましょう。
幼稚園では
子どもが3歳になったころから幼稚園か保育園を検討すると思います。
またそれ以前に共働きであれは、0歳児から保育園という選択をする家庭もあることでしょう。
保育園については、認可保育園なのか無認可保育園なのかで費用は違います。また所得や子どもの人数や子どもの年齢(低年齢のほうが割高になる)によって保育料が違います。
ここでは一般的に幼稚園3年保育(年少・年中・年少)から入園させたと仮定してのお話です。
データは文部科学省「平成26年度子どもの学習費調査」(27.12/24付)より抜粋しました。(調査結果は2年ごとに出されるようで現時点で最新情報は平成26年度となっています。)
文部科学省「平成26年度子どもの学習調査」
※2018.6追記
最新データはこちら↓
まず私立幼稚園の場合、住んでいる地域や幼稚園にもよりますが、大体1年間に49万8,008円ほどかかると言われてます。
月額にすると約4万円必要となりますね。これは入学金や制服、給食費、遠足の費用などすべてを含めています。
公立幼稚園だと1年間に22万2,264円と私立幼稚園の約半分以下ですね。
しかし日本の幼稚園は私立のほうが多く8割以上は私立に通わせているのが現状です。
ここで兄弟が2歳違いの場合でどちらも3年保育にした場合、1年間は2人分の幼稚園代がかかるので負担は大きいですね。
3人目になると第3子優遇措置があり保育料は殆どかからないので少しほっとしますよね。
しかしこれは自治体によって支援制度が違いますので自分の住んでいるところがどんな支援制度があるか確認しておくべきでしょう。
こちらはJOIN(一般社団法人 移住・交流推進機構)が運営する全国自治体支援制度(2016年度版)です。
自治体によって出産奨励金が50万円支給されるところや、育児奨励金が月1万円支給されるところもあります。要チェックですね。
小学校では
それでは小学校はどうでしょう?
小中学校は公立に通わせる方が圧倒的多く、この時期が一番教育費はかかりません。
中には小学校から私立という方もおられますが、全体の1%程度です。中学校では7.2%。
学費については、公立小学校では1年間32万1,708円。月額にして2万6,800円。
少し高いように思いますが、これは学校外活動費(学習塾や習い事の月謝)21万9,304円を含んでおります。
なので何も習いごとをさせなければ、10万2,404円(月額8500円程度)となります。これは6年生のときにある修学旅行の代金も含まれた金額です。
私立小学校では153万5,789円。公立の約4.7倍かかるということですね。
また公立同様、学校外活動費が60万4,061円と公立の倍以上となっております。
私立に通わせながら、学習塾や習い事にも通っているお子さんが多いということがわかります。
中学校では
公立の中学校では1年間48万1,841円。うち学校外活動費は31万4,455円となっております。
これは高校受験に向けて進学塾に通う傾向があるからでしょうか。
私立中学校では1年間133万8,623円。公立の2.8倍です。
うち学校外活動費は31万2,072円と中学校になれば公立も私立も同じくらいの額となっています。
高校では
受験を経て、公立高校へ行くのか、私立高校へ行くのかで教育費がずいぶんと違ってきます。
まず公立高校の場合、1年間40万9,979円。授業料は0円で計算しております。
旧制度の高校無償制は平成26年4月入学から就学支援制度に変更になり一定所得以上の方以外は申請し認定されると授業料が免除となる制度です。
また学校外活動費は16万7,287円となっており、学習塾、予備校、習い事などしない場合は24万2,692円で月額2万円程度です。これは修学旅行の積立金も含まれており、その納入が終わると月額3000円程度になる学校もあるようです。
私立高校の場合、1年間99万5,295円。うち学校外活動費25万5,151円です。学校外活動費を除いても74万144円、月額6万円かかりますね。
この中に部活動費は含まれてませんので、部費や遠征費やユニフォーム代等が、さらに加算と考えていたほうがいいでしょう。
就学支援制度
世帯収入が基準額30万4,200円未満の場合、授業料に充てるための高等学校等就学支援金の支給を受けることができ、公立高校の授業料月額9900円が実質無償になります。
この30万4,200円というのは、市町村民税の所得割額の金額を見ます。
幼稚園から高校までのトータルは?
さて、幼稚園、小中学校、高校と見てみましたが、ここまででトータルしてみましょう。
幼稚園から高校までオール私立という方もいらっしゃるでしょうが、一般的なパターンとして私立の幼稚園に通い、そのまま地域の小中学校に通い、受験を経て公立高校というパターンで見てみると609万9,732円となります。
もちろんこの中には学校外活動費も含まれた金額なので習い事の有無、数によって違ってきます。
ここで冒頭述べた子供の教育費1千万かかる!と言った金額の半分以上は既にかかっているわけですよね。
では、残りの半分は?
そう、大学にかかる学費ということになります。
大学も国公立大学と私立大学でも違いますし、学部によっても学費が違い文系よりも理系の方が高くなります。
大学にかかる学費は?
国公立の場合、文系と理系とは殆ど変りませんが、私立になると文系より理系のほうが高くなります。
また大学は高校のときに払う入学金とは額が違います。
それも含めた金額で4年間で、国公立大学が518万円、私立大学(文系)690万円、私立大学(理系)812万円となっております。
実は受験料も見落とせない費用です。
センター試験検定料は18,000円、
国公立大学検定料(2次試験/前期)17,000円、
国公立大学検定料(2次試験/後期)17,000円、
私立大学の受験料1校あたり約35,000円+願書代がかかるので、いくつも私立大学を受けたら結構な金額となりますね。
さらには一人暮らしをさせるなど自宅外から通わせる場合、家賃や光熱費、食費、最初に購入する生活家電、家具等々の費用がかかってきます。
冒頭で1千万といった金額は決して大げさな数字ではないようですね。
またこれには養育費は含まれておりません。養育費まで含めると1人3千万円と言われてます。実に恐ろしい検証結果です。
志望する大学の学費はいくらかかるのかざっと計算してくれるサイトがありました。入学から卒業までの学費を計算してみましょう。
さんぽう進学ネット|進学に必要なお金がすぐわかる!学費計算機
まとめ
進路はそれぞれですが大学まで視野にいれるとお子さんひとりに教育費が1千万円かかるというのはあながち嘘ではありません。
子どもが小さくピンとこない方も確実にそのときはやってきます。
必要時期が明確なお金なので、計画的に貯蓄や保険を掛けていくことが肝要となります。
次回は教育費の貯め方についてレポートします。